愛してるよと言われたくて
その日から私の毎日は今までにないくらい明かるい日が続いた。
外見を着飾るだけで、こんなにも気持が高まるものかと、
自分でも驚いた。
なんでもできる。
そう思った。
「水本つかさちゃんでしょ?その髪色可愛い、俺らのグループに入らない?」
夏休みを目前にした昼休み、屋上でそう声をかけてきたのは1個上の山下くんだった。
第2ボタンまであけたワイシャツの下には、オシャレなネックレスが光っている。
髪はほとんど色が抜けていて、太陽の光が透けてしまいそう。
私は緊張して、喉が渇いていくのがわかった。
1年前、学校に来ることさえままならなかった。
人としゃべることすらできなかった。
中学校という場所で、
私が楽しさを感じることは一生ないと思っていた。
でも、ドキドキした。
確実に、私は変化を遂げ始めていた。