わたしはね、ママを選んで産まれて来たの。 −上−
ママと父がわたしの入院のことで話し合ってる。
待ち合い室からの声が少し聞こえる。
父は一旦帰って必要な荷物持ってくるとか、
ママはみーちゃんに付き添えるか聞いてみなくちゃ、
とか、いろいろ。
救急処置室に居ると、
いろいろな人が来る。
事故で怪我した男の人が運ばれて来たり。
ネズミを殺す毒の入った餌を間違えて飲んじゃったかもしれない男の子が来たり。
入院しなくちゃいけないのかあ。
って、ぼーっと考えてたら、
わたしが入院する病棟の看護師さんが来て、
救急処置室の看護師さんと、
わたしのことについていろいろ話し合ってるのが聞こえる。
ママも父と話を終えたみたいで戻って来た。
手を握って、頭を撫でてくれる。
「大丈夫だからね、パパはみーちゃんのパジャマとかタオルとか取りに行ってくれたから」
「うん、ごめんね」
「病気なんだから仕方ないでしょ?大丈夫だよ、ママずっと一緒に居るからね」
「…うん」
「大丈夫」
ママはぎゅっと抱きしめてくれる。
何時だってママはそうだ。
苦しいとき何時も背中をさすってくれる。
不安なときは何時も手を握ってくれる。
ママの手は魔法の手だ。