わたしはね、ママを選んで産まれて来たの。 −上−
車椅子に乗せられたわたしは、
入院病棟の看護師さんに車椅子を押され、
ママと一緒にエレベーターで入院病棟まで来ていた。
病棟は、消灯時間をとっくに過ぎているため、薄暗い。
なので、大きな音を立てないようにしなければいけない。
わたしの入院する部屋は4人部屋。
この病棟の半分が小児科用なので、
わたしと同じ子供ばっかり。
看護師さんにわたしのベッドまで連れて行ってもらって、ベッドに横になる。
ママは付き添い用の折り畳み式のベッドと布団を借りた。
あとは点滴スタンドも用意してもらった。
ベッドの右側には、
壁と一体になっている棚とクローゼット。
左側には、
キャスター付きの可動式の棚。
その棚には引き出しと、
扉付き収納スペースもあり、
引き出すと机にもなるような板も収まっていて、
1番上にはドドンとテレビが置いてある。
テレビは、テレビカードと言うテレホンカードみたいな物がないと見れなかったりする。
みなみに一枚1000円。
よくテレビドラマでみるような、まさにあんな感じだ。
でもこれは当時の話だが。
ママが看護師さんに小声で、
いろいろ説明を受け終わると、
ママ用の折り畳みベッドの組み立て。
多分シングルより狭かったはず。
ママと離れるの嫌だけど、
こんなに窮屈な思いさせちゃってごめんねって、
わたしはあのとき、
直接ちゃんと言えてなかったんだろうな。
ごめんね、ママ。
それから、ありがとう。