わたしはね、ママを選んで産まれて来たの。 −上−
(くるし、い)
(いき、が…くるし、い)
ひゅーひゅー。
ぜぇーぜぇー。
真夜中。
3歳のわたしなら、
もうとっくに寝ている時間。
咳が止まらない。
呼吸が上手く出来ない。
両親はすぐにわたしの異変に気付いてくれた。
苦しくて起き上がるわたしの頭を、
ママは優しく撫でてくれる。
父はわたしの背中に耳を押し当てる。
「みぃちゃん、大きく深呼吸してみて?」
父に言われた通り、深く深呼吸をする。
すると、自分にも聞こえる変な音。
「喘息…だな」
父の残念そうな、
悔しそうな声がした。
父は自分を責めたのだろうか?
生れつき喘息を抱えていた父だから、
自分のせいで娘に遺伝してしまったのかって、
悔しい思い、したのかな?
「取り敢えず、救急で病院連れて行こう」
父がそう言うと、
ママはすぐに病院に連絡して、
父もママも簡単に着替え始めた。
パジャマのままのわたしはママに抱かれて、
父の運転する車に乗り込んだ。
向かう先はもちろん病院。