わたしはね、ママを選んで産まれて来たの。 −上−
点滴が終わりそう…。
(な、のに…なのに…!)
ひゅーひゅー。
ぜぇーぜぇー。
苦しいし、咳も止まらない。
(なんで…ねえ、なんで?)
点滴が終わると、
先生が何時ものように、
胸と背中から気管の音を聞く。
「はい、吸ってー」
(ひゅーうう)
「はい、じゃあ吐いてー」
(ぜぇーええ)
今まで点滴で治ってきたはずなのに、
なんでなんで?
不安でママの手を握った。
「今回はちょっと酷いみたいですね」
「そう、ですか…」
「ベッドの空きがありますし、明日になれば小児科の先生の回診もありますし、このまま入院と言う形が良いかと」
「そうですか、わかりました」
先生がママにそう言い終えると、
今度は看護師さんに指示を出して、
看護師さんが、空になった点滴のパックをチューブから外し、
新しい点滴のパックにチューブを射した。
(てんてき…にほんめ…?)