天神学園高等部の奇怪な面々Ⅱ
振り向くとそこには、文野 穹が立っていた。

シャカシャカと音漏れするヘッドフォン。

視線の見えない長い前髪。

口元には、癇に障る薄笑みを浮かべている。

(俺に気配を感じさせなかっただと…?)

幾つもの修羅場を潜り抜けてきた龍太郎にとって、こんなに接近されるまで存在を悟らせなかったというのは驚愕に値する事だ。

「おや、驚かせてしまいましたか?3年の文野 穹といいます。お見知りおきを、丹下 龍太郎君…」

「…俺の名前を知ってるのか…?」

「そりゃあもう…貴方は今年の新入生では有名人ですから」

そう言って穹はクツクツと笑う。

『皇帝』水無瀬 遥を筆頭に、七力 迦楼羅、玖宮 天眞、先日3年のクラスに転校してきたというRA000-EX00にいたっては軍用ロボット。

更にはこの文野 穹まで。

この天神学園には、龍太郎の最強の自負を揺るがせる曲者ばかりだった。

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