天神学園高等部の奇怪な面々Ⅱ
席から立ち上がり、龍太郎は歯噛みする。

知らず、拳を握り締めていた。

その手の中には汗が滲む。

認めたくはない。

だが否定は出来まい。

龍太郎は圧倒されていた。

喧嘩では負け知らず、常人ならば発狂しかねないほどの鍛錬を積み重ねて全身凶器の如く鍛え上げた龍太郎が、目の前の中学生のような少女相手に。

…龍太郎だから肌で感じ取れるのだ。

凡人ならば何もわかるまい。

心得がある程度の者でも感じ取れまい。

『相手の強さがわかるのも強さのうち』

龍太郎だからこそ、迦楼羅という少女の異質な能力に感づく事ができたのだ。

だからこそ退けない。

こんな幼い姿の少女相手に圧倒されたなどと。

既に水無瀬 遥を前にして無意識の内に敗北を認めてしまっているのだ。

二度目の敗北など、死んでも認められない!

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