天神学園高等部の奇怪な面々Ⅱ
ダン!と大きな音を立てて踏み込み。

龍太郎は右の拳を大きく突き出す!

右中段正拳突き。

空手の技の中でも基本中の基本。

一撃必殺の象徴。

極めれば人間は勿論、野生の獣でさえも仕留める事が出来る『空手そのもの』を具現化したかのような技。

過酷な修練を幼き頃より反復してきた龍太郎の右中段正拳突きは、それそのものが鈍器であり、刃であり、弾丸であった。

そんな拳を前にして、迦楼羅は逃げない。

瞬き一つせずに、龍太郎の拳が眼前にまで迫り来るのを見ている。

相変わらず夕陽よりも強く輝く金色の瞳。

その瞳が、僅かに細まったように見えた…。

< 31 / 152 >

この作品をシェア

pagetop