天神学園高等部の奇怪な面々Ⅱ
鈍い羽音を立て、教室内を飛ぶ一匹のスズメバチ。

窓が開いていたので侵入してきたのだろうが、生徒達にとっては招かざる闖入者だ。

「わっ、でけぇ!」

「やだやだ!こっち来る!」

「馬鹿!追い払おうとするな!興奮して襲ってくるぞ!」

身を低くして、席から離れて、悲鳴を上げて。

人間から見れば小さな小さなスズメバチ一匹に、教室は騒然となる。

遂にはスズメバチは、カチカチと音を立て始める。

牙を鳴らす音。

スズメバチがこの音を鳴らすのは、攻撃に転ずる合図と言われている。

気性の激しいスズメバチがこの音を鳴らすのは、非常に危険なのだ。

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