天神学園高等部の奇怪な面々Ⅱ
完全に地面から浮いた穹の両足。

スタンナックルによってミシミシと締め上げられる細首。

ラエクスがほんの少し力を込めれば、或いはスタンナックルの電撃を作動させれば、瞬時にして穹の生命活動は停止する。

「よ、止せ、止さないかラエクス、『皇帝』の名において命ずる!」

小心者ながらも学園生徒の危機は見過ごせない。

勇気を振り絞ってラエクスを制止しようとする遥。

「…その命令は聞きかねます」

遥の言葉を無視して、ラエクスの手は穹の首を圧迫する。

あと少し、もう少し。

指が食い込めば穹の気道が完全に押し潰されるという時だった。

「…如何です…己の意思で行動できる自由を得た気分は…?」

この窮地にクツクツと。

ラエクスにぶら下げられたまま、穹はあの癇に障る薄笑みを浮かべた。

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