2つの顔
「そっか」「強いんだね文子さんは」「いえ」

今度お姉さんにも何かプレゼントしたいな・・・せっかくだから

「そんな気を使わないでくださいね」

「気なんて使ってないよ」「そうですか」

何気ない会話の途中も文子は癖なのか髪をさらさら書き上げる

雲から刺した太陽の光に当たって髪がきらきら光る

「きれいな方だ」[いやだわ突然そんなこと」「いえ実は別れた女房に似ていたんです」

「そうでしたの?」「どんな方?」「やはり貴方と同じように強くたくましい女性でしたよ」

「浮気という裏切られる形で別れてしまった」「男がねできたんです女房に」

「子供もいるのに」「何か僕に不満でもあるのかと問い詰めましたが」「泣いて離婚してくれと・・」「そうですかそれはおつらかったでしょう?」「半年くらいは仕事が手につきませんでした」

僕は不貞などしずまっすぐに作業所から家に向かい毎晩女房と話をするのが楽しみだったので。

「愛してらっしゃったんですね」「ええ」「妻を愛してました」

「私じゃ変わりになりませんか奥さんの?」「えっ」唐突だったので少し驚いた

「いえ」[少しびっくりした」「君の口からそんな言葉が聞けるなんて思わなかったから」「胡散臭い中年の親父がなんか声をかけてきた」「そんな風に思われてるとてっきり」

いえ、「健吾さんは一途で素敵な方だわ」

じゃあ今度また雨の降る日の午後2時に同じ場所で会いましょう

妙な約束を取り付けて健吾と文子はカフェをでた
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