2つの顔
地下鉄につくとあめは少し小ぶりになった

ぼちぼち二人は並んで歩きだした

「本当に来てくれると思わなかった」「約束は守りますよ」「そうか」

「僕はてっきりからかわれたんだとばかり思っていたよ」「からかうなんて」

「誰か君は今付き合っている人はいるの?」「半年前別れたばかりですよ」「そう」

「じゃあ僕が立候補してもいいわけだね」「立候補?」「うん」

「私なんかでいいんですか」「いいんだよ君が君がいいんだ」「それは私が別れた奥さんに似てるからですか」「タイプが同じだけだろう、君は君だよ」

少し不満そうに彼女はうなずいた

そっと手を差し出すと彼女が手を取った

並んで手をつないで歩き出した

美女と野獣か・・・・・・・・・・・・・・男はひげを生やしていたどこからどうみても不釣合いなカップルにしか見えないだろうな

しばらく歩くと動物園についた

チケットを販売機で買い求め奥に切符きりの女性のところに差し出した

めんどくさそうに切符切りの女性が券をもぎ取った

雨が降ってるせいか動物特有のくささがなかった
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