美神 ~女神との邂逅・そして肉体を抜け出し幽体となった私が最後に鏡の中に見た自分の姿とは・・・
 自分の肉体の目と顔と
頭蓋骨の裏側を見ながら

その直ぐ後ろを私が上へと上昇してゆき
肉体が下へと

床に置き去りにされて行く光景を
まざまざと見たのです。


私はちょうど頭蓋骨の継ぎ目に当たる
頭頂の部分から上へと

天井の方へ向かって
抜けていったのです。

まるで自分が薄っぺらな
軟体動物か或いは

幽霊にでもなったような感じでした。

そして部屋の中はいつものように
真っ暗なはずなのに、

わたしの眼は明りを捉えて
目の前の物たちを

はっきりと見分けていました。
< 57 / 75 >

この作品をシェア

pagetop