君は天使
「・・・ね?もう一回、言って?」
俺に抱きついたまま恥じらうように言う。
「・・・?何を・・・?」
白波瀬の意図がわからなくて困惑する。
「“好きだよ、真衣”って。」
真っ赤になって俯く白波瀬。
「!?・・・そんなこと・・・」
言った覚えがない。
そもそも、白波瀬と話したのも・・・今日が初めて・・・・
初めて・・・か?
「言ったじゃない。
昨日。部屋で・・・あたしを抱きながら。」
「・・・白波瀬・・?」
記憶を探す。
白波瀬を抱いた憶えなんてない。
それに、さっきから頭をチラつく残像が“違う”と叫んでいる。
「・・・・ごめん、白波瀬を抱いた憶えもないし、好きだなんて言った覚えもない。
白波瀬は可愛いし、他の男に言われたんじゃねぇの?」
抱きつく白波瀬から離れ、教室から出る。