長い一日。
「友美の中で何をして、どうするかは空菜しだい。
だから間違いのないように頑張って」

シイナが私の耳にそうつぶやいたのが先か
私が友美の中に溶け込んだのが先か
わからないくらいにあっという間に私は友美の中に入った。

そこは白い部屋。

部屋と呼んでいいのかわからない大きさだけど、きっと部屋であってると思う。

大きすぎて遠くに薄く地平線が見える。

「なんだろここ?」

この部屋に入ったとたん、心にたった一つの感情が浮かんだ。

「この気持ちなんだっけ?」

優しい気持ちになれるような、暖かくて心地いい気持ち。

「嬉しいんだね?」

目が見えなくても感じるんだ。

耳が聞こえなくても存在がわかるんだ。

友美の中はまるで真っ白なキャンパス。

感情の名前も知らない。

気持ちを言葉にできない。

でも、もどかしさはなくて清々しくて、気持ちいい。

まるで、生まれたばかりで言葉を知らなくて何もない。

でも無限大の可能性を秘めているような、不思議で神秘的な場所。

私にもこんな時期があったんだ。

でも使い方がわからなくて、持て余していつのまにか消えてしまっていたんだ。

今、私は感じる。

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