長い一日。
声が聞こえた。

そうか耳も重なったんだ。

ならきっと目も重なってる。

友美、あなたに夢を見せてあげる。

━━ ゆ…め…

まだたどたどしい友美の声が友美の中に響く。

そう、今のは音。

そしてこれが景色。

私は友美の目を開いた。

少しぼやけた視界のなかに今にも泣きそうな友美のお母さんの顔がうつる。

この人はあなたのお母さん。

━━ おかさん…

話したい?

友美のなかの色が少し強く光った。

Yesってことだね?

友美、話してごらん。

あんたはもう話せるはずだよ。

友美のなかの色がすこし暗くなる。

怖がらないで?

話すことは確かに難しいけど、決して怖いことじゃないの

だから、ほら言ってごらん…

「友美!?友美!?お母さんよ。わかる!?」

「おい…おまえ、わかるわけないだろう?目が見えないんだから」

友美のお父さんらしき人が言った。

「…わかるよ」

友美の意志で出てきた言葉。

友美の両親は信じがたい現実を目の前に涙を流しながら友美に抱きついた。









< 12 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop