長い一日。
私はその声にハッとした。
それは大切な友達の声。

とても可愛い笑顔のもう一人の私。

『シイナ』

そう言いたかった。

でも声は出せなかった。



━━━ドクン



「…ッは!…うぐぉっ…」


━━━ドクン


私はその場に倒れこんだ。

━━━ドクン


苦しい。

あぁ、そっか。

今日は私に残された最後の日。

これは当たり前なんだ。

意識が遠のいていく。













『空菜』

誰?

私はもう疲れたから眠りたいの。

『空菜、待って。
まだ終わってない。
まだ次の子にあってないよ』

あなたは…?

『私に名前をくれたのは
空菜でしょ?思い出して』

私が名前をあげた?

『そう。私は誰?』

あなたは…もう一人の私…?

『そう。じゃあ私の名前は?』

シ…イナ…

そうつぶやくと急に視界がよくなった。

ここは真っ白な部屋。

目の前にはもう一人の私。

「空菜。次は時の子に会ってもらいたいの」

「時の子?」

「そう。ついてきて」

シイナは私の手をつかんで歩きだす。

懐かしいシイナの手。

懐かしい?

シイナに会うのは今日が初めてのはずなのに…

でもそうかんじるの。

懐かしくて暖かい手。

思生。

思い出した。

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