長い一日。
「ほらね、あなたも今までと同じように私を拒絶してる。でも今回はちょっと違う。私には目がないから前より傷つかないもの」

時の子は私の頬に触れた。

「やっ…!!」

私は無意識のうちに時の子を突き飛ばしていた。

「痛いなぁ。そこまでしなくてもいいじゃない。今までと同じように過去に飛ばしてあげるからさぁ!」

時の子は、私に飛び掛かり口を大きく開けた。

真っ黒で深い深い闇が広がっていく。

「嫌あぁぁあぁ!!」





私は時の子に飲み込まれた。

私は闇に飲み込まれた。

真っ黒な闇の中で写真みたいにいろんな景色が見えた。

中庭、見慣れた白い天井、廊下、友美、阪井さん、加奈さん、お父さん、お母さん。

最後に見た写真は、403号室の病室。

私の病室の隣だ。

気が付くとそこは病室の中。

ベットには一人の女の子が寝ていた。

「私…?」

違う。

私によく似てるけど違う。

私はこんなに髪が長くないし、こんなに色白でもない。

それにこんなに優しい微笑み方はしない。

そこにいたのは私に似ても似つかない子。

純粋そのもので、まるで天使のような子。

私が女の子に見とれていると、後ろから声がした。

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