長い一日。
「どうしたの?」
振り替えると『あの子』がいた。
「いつもみたいにかわらない未来のために空菜のところに行って体をのっとって歩きまわれば?まだ動くお姉ちゃんの体の所にさぁ」
お姉ちゃん?
「どういうこと?」
時の子は笑った。
ニヤリとしたいやな笑顔。
「なに、今更すっとぼけちゃってんの?今まで何十回も過去に戻してあげたでしょ」
時の子は再び笑う。
「なんのこと?」
「まーだ、知らないふりをするわけ?前回の時なんて『お姉ちゃんにシイナって名前つけてもらった』ってはしゃいでたくせにさ」
思生?
なぜ時の子が思生を知っているの?
この子が思生だというの?
何回もこんなことがあったっていうことは
思生が友美の病気を知っていたのも
前からおじいさんのことを知ってるみたいな言い方をしたのも
全部知っていたから?
「思生は、どうしてこんなとこにいるの?」
「三歳の時から心臓に異常があった。六歳の時に心臓移植したけど、七歳の誕生日に拒絶反応をおこした。」
時の子は、思生の髪に触れた。
「思生に触らないで」
私の中に醜い感情が込み上げる。
嫌悪感。
「まるで他人みたいに言うのね」