長い一日。
…もう入れない。
思生は私を拒絶してる。
時の子が言った言葉が私の頭の中によみがえる。
『今のアンタは、シイナと真逆だからこの体に拒絶されてるしね』
今の私…
それならこの時間にいる過去の私なら?
今の思生と同じ暗く冷たい心を持った過去の私なら?
試してみる価値はある。
今、思生を救えるのは私しかいない。
そして…
今の思生に触れることができるのは、きっと過去の私しかいない。
「うぅ…っ」
「思生!?」
気が付いたの!?
でも様子がおかしい。
思生の顔を覗き込んでみるとその顔は、痛みと苦しみに耐えもだえいるようだった。
「思生どうしたの!?苦しいの!?」
「ま…ま。ぱ…」
消えそうな吐息にまじって漏れだしてきた言葉。
思生…
待ってて、必ずあなたを助けてお母さんたちにあわせてあげるから。
私は、お姉ちゃんだから。
私が守るから。
「おね…ちゃ…」
思生はかすかな声でまたつぶやいた。
どこかためらっているのか、はっきりしない声。
でも私はしっかり聞き取った。
『お姉ちゃん』
そう言ったんだよね?
私の心がキュッと締め付けられたような気がした。
「思生。待っててね」