長い一日。
私は、思生を軽く抱き締めると立ち上がった。

そして私は走った。

隣の病室で眠っている私のもとへ。

私は自分の病室の前までくると立ち止まった。

扉のとってをつかもうとしても私の手は空を切るばかり。

━━今の私には実体がない。

私は意を決して扉にむかって飛び込んだ。

するとあっさりと病室のなかに入れた。

これが死んだ感触なのか?

体に起こる鳥肌を無視して私が眠るベットへと足をすすめる。

ベットで寝ている私の枕元に時の子があざ笑うかのように立っていた。

「やっぱり来たね。カンがよければ来ると思っていたよ。早くしないとシイナの体からシイナの魂が出ちゃうよ?」

「魂が出るって…。どういうこと?」

さっき押さえ込んだはずの寒気がぶわっと体を駆け巡る。

「シイナは永遠に目覚めない。でも死ぬこともできない。永遠に目覚めない植物状態におちいる」

「思生はもう植物状態のはずでしょ!?」

「それは助かる見込みがある程度のね。もう助からなくなる」

そんな!?

だから思生はあんなに来るしそうにしていたの?

私は言葉を失った。





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