長い一日。
さぁ、私ならどうやってこのカラッポの人形に魂を吹き込む?

私は『心の私』に触れてみた。

『心の私』は何かにおびえるようにビクッと震えると私の手を払いのけた。

「触らないでっ!!」

『心の私』が怒鳴った。

そうだ。

あの頃の私は、自分の心を誰かに触られるのを恐れていた。

自分の弱い部分に人が入り込んでくるのが怖くて。

人と馴れ合ってしまうのが恐ろしくて。

だって私はすぐにいなくなってしまうから。

誰かを傷つけてしまうから。

それは私が一番わかってる。

一番わかってる。

じゃあ、どうすればいいのさ!?

私は悩んだ。

「アンタ誰?なに勝手に私の場所に入ってきてるわけ?」

『心の私』が私を見下すように言う。

過去の私の話し方だ。

余裕があるようなふりをした話し方。

でも今の私は違うでしょ?

「私はあなたを迎えに来たの。助けてほしい子がいるの」

「私には関係ないことでしょ?自分でなんとかすれば?」

間髪入れず『心の私』は返事をする。

イチイチムカつく言い方するな…

「私にできるならそうするけど、できないの。あなたじゃなきゃいけない。」

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