長い一日。
「ねぇ?シイナ。『思生』って名前の由来教えてあげようか?」

私は自分の頭をシイナの頭にコツンとぶつけた。

「あのね、『人の思いを生かせる子になるように』って意味なんだよ」

私は少し間をおいてから続けた。

涙を流しているのをごまかすために。

「ねぇ、シイナ。あんたにこの名前をあげる」

「そんな名前もらっても私には思いを生かす相手もいないの!!」

思生は声を荒げて怒りだした。

「じゃあ、私の思いを生かしてよ」

私は優しく思生を抱き締めた。

「私は思生に笑ってほしい。思生と遊んだりしたい。
実は私もね、遊んだり笑いあう友達もいないんだ。でもそうゆう相手がいるとどれだけ楽しいか知ってるからもっと辛いの。」

私は少し強く思生を抱き締めて続けた。

「でも相手のいる楽しさも知ってるから。思生にも知ってほしいから。
だから怖がらないで目を覚ましてよ。」

「でも私は独りぼっちに…」

「私がしないよ。私がずっとそばにいる。お姉ちゃんがずっとそばにいるから」

お姉ちゃん?

私今なんでお姉ちゃんなんて言ったんだろ?

わからない。

でも感じる。

私は思生のお姉ちゃんなんだって。

「うん。素直になれなくてごめんね。お姉ちゃん」

思生が笑った。

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