長い一日。
なにかすごい力に引き寄せられて、私は荒れた部屋からはじき出されてもとの病室に戻ってきた。

誰も私の存在に気が付かないなか、私の体に入り込んだあの女が笑いかけてきた。

「空菜、よくやったね。ほら、思生が目覚める」

私の体に入り込んだ女はうれしそうに言った。

思生をかえりみると、眠っている思生の顔が天使のように微笑みはじめた。

「アンタに聞いておきたいことがある。アンタは何者?」

女は笑う。

私にはできないような可愛らしくて、無邪気な笑顔で私を見て言った。

「未来のアンタだよ」

未来の…私?

私にまだ未来があるの!?

私の意識が自分の体にひきよせられる。

待って、まだ聞きたいことがあるの!

未来の私はちゃんと生きているの?

教えてよ!

未来から来たのなら教えて!!

私の意識が体に入ると同時に思生が目覚めた。

起き上がる思生にお母さんたちが駆け寄る。

「おねーちゃん?」

動かない私を心配して思生が私に声をかけたけど、どうしても目がもう一人の私を探すのをやめてくれなかった。



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