長い一日。
「あら、じゃあ友美のお友達?」

「そうです。」

シイナは私には作れないくらいの可愛らしくって無邪気な笑顔で言った。

「まぁ!そうだったの。
友美、友美お友達が来てるわよ。」

女の人は「友美」の手に指で文字を書いた。

きっとお母さんなんだろうな。

友美は少し驚いた顔を上げた。

「友美は目も耳も使えないのにお友達ができるなんてすごいねぇ」

そう言って友美のお母さんは友美の頭をなでた。

目も耳も使えない?

それって…

「ヘレン・ケラーですね?」

シイナが言った。

友美のお母さんはびくっとして静かにうなずいた。

「だから最初に話し掛けたときなにも反応がなかったんだ。」

私がつぶやくとシイナは軽く私の方を見て笑うと友美の隣に座った。

私はそのあとに続いてシイナの隣に座った。

やっぱりみんなには私が見えていないらしい。

みんな、シイナの方を見ている。

でもシイナは私の方を見て手を差し出した。

「ちょっと。何やってんの?
みんなには私が見えないんだからそんなことしたら変に思われるでしょ?」

「いいから。早く」

シイナは私の手を無理矢理つかんで友美の手に触れさせた。

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