甘い時間をください。
気がつくとあたしの目からは大粒の涙が溢れてブレザーを濡らしていた。
「っ…美咲!何で泣くんだよっ…」
悠哉は机から降りてあたしの後ろからあたしを優しく抱きしめた。
そのぬくもりは温かくてあたしの心が解けてゆくみたいだった。
「…うっ…だっ…………て…」
あたしは嗚咽混じりに必死に言葉を吐き出した。
「…ゆう…や…のことっ…っ…きらいじゃ…ない…よ」
あたしは首に巻かれていた悠哉の腕を強く握りながら言った。
それがあたしにとっては必死な言葉だった。