甘い時間をください。



気がつくとあたしの目からは大粒の涙が溢れてブレザーを濡らしていた。


「っ…美咲!何で泣くんだよっ…」


悠哉は机から降りてあたしの後ろからあたしを優しく抱きしめた。

そのぬくもりは温かくてあたしの心が解けてゆくみたいだった。

「…うっ…だっ…………て…」


あたしは嗚咽混じりに必死に言葉を吐き出した。


「…ゆう…や…のことっ…っ…きらいじゃ…ない…よ」


あたしは首に巻かれていた悠哉の腕を強く握りながら言った。

それがあたしにとっては必死な言葉だった。

< 15 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop