甘い時間をください。
無言のまま校門を出た。
まだ部活動をしている生徒たちの声が聞こえる。
「美咲と一緒に帰れるなんて嬉しいや」
少し強い風が肌をかすめたときに悠哉は言った。
あたしは悠哉を見上げた。
風になびかれるさらさらの髪の毛。
夕日の明かりで赤く染まる顔。
優しい目はあたしを真っ直ぐ見てる。
『あたしも』
なんて言えたらいいのにな、
そんな事を思いつつ
「うん」
たった一言あたしは頷いた。