甘い時間をください。


そう言った悠哉の唇は―

あたしの唇に重なっていた。

あたしは目を瞑る余裕なんてなくて。

優しく触れるだけのキスを必死に受け入れた。

でも…

いつのまにか気がつくと口内に生ぬるい感触。


え?
何が起こったのかあたしは一瞬分からなかった。

でもすぐにそんなことは分かって…

だって悠哉の舌が…



パンッ

路上に響き渡った音。

無意識にあたしは悠哉の頬を叩いていた。


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