Nostalgicな祭りのあとで
「勇気の出番よ!」
勇気の母はビデオを持つ夫をせかした。

勇気は舞台の上から、自分の家族を見つめた。
離れた場所に座る両親と祖父母。
どちらも大切な家族なのに。

七菜はそんな勇気を見やると、ハイとマイクを渡した。
「最初の挨拶、リーマンがやって。」

「えぇえ?できないよ。」
「大丈夫。大人に伝えたいこと、リーマンにもあるでしょ?」

クラスメイト達が賛同する。
陸と大樹も頷いた。
沢山の観客の中、勇気は顔を上げた。

「皆さん、懐かしいお祭りはどうですか?お父さん、お母さん、そしてお祖父ちゃんやお祖母ちゃんが子供だった頃・・その時の気持ちを思い出してもらえたらって・・思ってます。」
勇気はぎゅっとマイクを握り締めた。
「校長先生は教えてくれました。この町になぁにもなかった頃の話を。・・便利なものはなかったけど、今よりずっと、人と人の間には大事なものがあったって。」
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