Nostalgicな祭りのあとで
「大樹?」
「見せたいものがあるんだ。」

「え?」
「ついてきて。」

突然、大樹は列から離れ遊歩道へ入って行った。

「何だよ、いきなり?大樹!」

勾配に丸太が時折埋まっただけの、獣道みたいな遊歩道を黙ったまま進む。

初めて入る森に緊張しながら、陸は辺りを見回した。

鬱蒼と繁る木々や苔、しっとりと葉を濡らす雫、緑色の森。
真夏なのに薄暗くてひんやりとしている。

見上げると微かな木漏れ日が、若芽を黄緑に照らしていた。

森の香りが静かに漂う。

「なあ、どこまで行くんだよ。みんな探してねぇ?」

やはり大樹は応えない。
陸は見失わないよう足を速めた。
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