Nostalgicな祭りのあとで
やがて陸は口をつぐんだ。
疲れたせいではない。

どのくらい登っただろう・・・。
いつしか、山は姿を変えていた。

初めて来た陸にも分かる、異様な光景。

ふもとで感じた、瑞々しい香りは消えた。

緑はまばらになり、ぽかりと剥げた山肌に、真夏の太陽がサンサンと射している。
歩く度、靴の下で枯れた苔がホロリと崩れた。

色褪せていく、枯れ木ばかりの森。

樹齢百年単位あろうかという大杉さえも、葉をつけたまま枯れていた。
その様が痛ましい。

聞こえるはずもない、森の叫び声が満ちている。
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