Nostalgicな祭りのあとで
角を曲がると、妙に白熱する声が聞こえてきた。

戦う二世帯住宅、大橋邸だ。

喘息持ちの孫のため立派な庭付きを建てた夫妻。

しかし、都会育ちの嫁とはどうにもそりが合わなかった。

イマドキ嫁VS昭和の姑。

その争いに巻き込まれているのは孫の勇気だ。

陸と同じクラス。
けれどマシュマロみたいな体が立派すぎて、とてもそうは見えない。

原因は過剰な愛情バトルだ。

「リーマン」
誰がつけたか分からないあだ名。

陸はチラと表札を見た。

うっかり本名を忘れるほど、絶妙なネーミングだった。
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