Nostalgicな祭りのあとで
小学校は町外れの山のふもとにある。
校舎の裏は鬱蒼とした、深い深い森。

「おはよ、転校生君。」
「その言い方やめろ委員長。」

「じゃ、あんたも名前で呼びなさいよ。あたしには七菜ってカワイイ名前があるんだから。」

陸はおもむろに嫌な顔をして歩調を早めた。

陸のクラスの委員長、櫻 七菜。

おしゃべりでうるさい。

転校生を気遣ってか、やたらかまってくるのが鬱陶しかった。

「もっとゆっくり歩いてよ。」

坂道で七菜の息があがった。

ここぞとばかりに、陸は無言で歩調を早めた。

やがて七菜の小言は、登校するざわめきに掻き消されていった。
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