Nostalgicな祭りのあとで
大樹はひょいと手を出した。
「カッコ悪いね、陸。もっとクールじゃなかったっけ?」

「うるせーよ。つか、お前今まで猫かぶってただろ。」

七菜がホッとしたように、駆け寄ってくる。

「でも・・・。」
肩をガッシリ掴み
「七菜をまた怪我さしたら承知しないよ。」

ニヤリと不敵な笑顔をかまして七菜に手を振る。
またひとつ増えた、新しい大樹の一面。

「お前、趣味悪い。」

大樹が後頭部を殴るのをよけながら、
「でも、俺も趣味悪くなったかも。」
と呟いた。

夏はまだまだ真っ盛り。

七菜の後ろで、二人は妙に力のこもった手で肩を組んだ。
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