Nostalgicな祭りのあとで
「人がラクを求めるほど、その代償は高くつく。じゃが、この町はそれを労にした。逞しいもんだぁな。」

黙ったまま、やまじいは窓を眺めた。

「・・真山も来た。息子がしていることが、正しいことかどうか、町長としては判らんとな。ただ、親としては・・・。あいつも複雑よの。」

やまじいは少し顔を歪めて言った。

「お前はどう思う。正しい施設を建てて町の生活を救うのと、二度と戻らない町の土地を守ること。お前なら子供の未来にどちらを選ぶ?」

「わしは・・、これはわしだけの見解だから、気にとめんでくれよ。」

棚橋の言葉に、やまじいは頷いた。

「町の資金が豊かになれば、病院も学校施設も良くなる。町民の半分がこの隣町に勤めに来ていることを思えば、施設は救世主だなぁ。だがの、わしは・・・山神さんに逆らおうてまで、手に入れるもんなんか・・分からん。」
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