Nostalgicな祭りのあとで
体を揺すられて我に返った。

「どぉしたぁ、疲れとんじゃないのか?」
「いや、すまん。」

棚橋は心配そうに顔を覗き込んだ。
そして、談話室で少し休もうと促した。

「長く時代を渡り歩いた中の経験と知恵を授けるのは、わしらの役目だ。子供が間違っていたら、正してやるのも務め。じゃが、選ぶのは新しい時代を生きる者達だと思ぉとるよ。」

棚橋はそれきり黙ってしまった。
やまじいは隣を歩きながら空を見上げた。

桜子の声がまた近くなる。

祭りは、五日後。

緑化整備された敷地の向こうから、煙が絶えることなくこぼれていた。
子ども達の笑い声と、駆けていく足音が病院の前を掠めていく。

それは実にのどかで・・けれど残酷な光景だとやまじいは思った。
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