Nostalgicな祭りのあとで
それぞれの真実
「とうとう息子に嫌われた・・」
部屋に入るなり、守は机の上に崩れた。

「お前は言葉が足りないんだよ、肝心な時ほど。ホント変わんないねぇ。」
クルクルと試験管を回しながら、青山 爽がスパリと言う。

陸の父・日高 守は暗い顔のまま、顕微鏡のトレイに今朝採取したばかりのサンプルを乗せた。
「・・ああ、こっちもだ。この畑もイカれてる。」

研究室にいたスタッフが、あちこちで顔を見合わせた。

―半年前、妻が家出して間もない頃、懐かしい人物から電話があった。
七菜の母・櫻 初美、幼馴染の一人だ。

「うちの畑、見てくれんかね。」

よっぽど思い余ってのコトだったのだろう。
それどころじゃないと邪険に断っても喰いついてきた。

けれど、今は初美の粘りに感謝したいくらいだ。
不安は的中していた。
この町は、誰しもの予想をはるかに上回る状態だった。
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