Nostalgicな祭りのあとで
真山社長はメールを打ち終わると伸びをした。

いよいよ、大きなプランが始まる。
胸が高鳴るのを抑えられなかった。

誰も成し得なかったことを起こす快感が、真山を奮い立たせていた。

真山は何度も自分の心に言い聞かせている。
ずっと抱えていたコンプレックスから、抜け出すために。

人望厚い町長を父に持ち、比較的豊かな家で育った自分は特別なんだと思っていた。
学校に入るまでは。

人一倍小柄な真山は、何をやっても上手くいかなかった。
体育も、勉強も苦手。
祭りの準備ですら誰かの足手まとい。
そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。

なのに、友人はみんな優しかった。
父親ですら忘れていた誕生日。
祝ってくれたのは、日高達だった。

真山は椅子を鳴らして立ち上がった。
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