Nostalgicな祭りのあとで
「いよいよ、明日だな。絶対見に行くから。」
父の言葉を背中で聞きながら、空になった食器を台所へ運んだ。

七菜が話した真実。
けれど、それは陸が父から聞いたものではない。

余計に腹ただしかった。
この感情は裏切られた時の気分に近かった。
自分には何も話してくれなかった。
その事実が、何より許せなかった。

「陸ぅ、風呂入らんね。」
気まずい二人に、祖母のキヌが助け舟を出した。

陸が無言で部屋を出た後、キヌがバシンと守をはたいた。
「お前は分かっとらん。」

「ちょっと、母さん!」
股にぶちまけた味噌汁を慌てて払う。

「隠しとることがあるだろがね。」
「何だよ、急に。」

キヌは長いため息をついた。
「お前がそうやって隠そうとするたび傷つくもんもおる。」
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