Nostalgicな祭りのあとで
奪うもの・守るもの
昨日までの雨が嘘のように晴れた朝、陸は大樹の電話で目が覚めた。

「じぃちゃんが昨日から帰ってこないんだ!」

町中を探したが見つからない。
不安を隠しきれない大樹は、少し震えているようにも見えた。

「・・誰を、探しているの?」

背後から声がした。
あの老婦だった。
今日も清楚な白いワンピースを着ている。

「・・いえ、あの。」
「やまじいを探してるんです。」
口ごもった陸を押しのけ、七菜が答えた。

白い手袋をはめた指が、すうっと向こうを指した。

「さっき、学校の近くで見たわ。ずいぶんお召し物が汚れてたわ。」

三人は顔を見合わせた。

「ありがとう!」
にこりと少女のように微笑む老婦にお礼を言って、学校へと走った。
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