Nostalgicな祭りのあとで
男の目が光った。
「あの時のネズミか。」

つま先の長い革靴から不恰好に足を見せた男がつぶやくと、ツヨシと呼ばれた小柄な男が前に出た。
大樹に体当たりされ、傷めた右肩を押さえている。
「ガキがなめたマネしやがって。」

「・・この桜は、この土地はお前らが汚していい場所じゃない。帰れ!」
大樹は怯むことなくツヨシの前に出た。

「お前らが何を知っているか知らねぇが、ここは正式な形で国の領土なんだよ。お上の命でここを整地するんだ。出て行くのはてめぇらだ。」

「じゃあ、何で今日なんだ?」

陸の言葉に一同の視線が集中した。

「たった二人で?最少の機材で?おかしくねぇか?」

ツヨシの顔色が変わった。

「音を・・立てたら、町の皆に気づかれるから・・」

大樹がつぶやき、陸が頷いた。


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