Nostalgicな祭りのあとで
カツンと杖の音がして、校長と町長が現れた。
「・・・誰にも魔が差すことはある。されど、そんなときは思い出すんじゃ。自分は何になりたかったのか。最初に感じてた気持ちを。」

真山は、唇をかみ締めて立ち尽くした。
「俺は・・。」

「お前を信じてるんだよ。日高君も、校長も、私も。」
壇上にトンと植木を置いた町長が、息子のそばに立った。

「・・その、木は?」
「汚染された結果だ。」

真山はガクンと膝をついた。
「・・きっかけは、やまじいのゴミだった。何とかしてやりたいと思った。町だけではどうにもならない問題も、俺ならできるって、そう思っていた。だけど、きつかった。その内、努力が無駄のように思えて・・建設会社の儲け話に乗ってしまったんだ。俺は、取り返しのつかないことをするとこだった。」

「ほんとに、お前は馬鹿息子だ。」

町長は息子の頭をボコンと叩いた。
そして、肩を抱いた。
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