ドラマチックスイートハート

「どうしますか? ウチには台車がありませんし、かと言ってこのまま無理に帰ると車ボディも痛めますよ。宜しければこちらに置いて、明日取り来ると言う方法もありますが……」










「え…………いいんですか?」









少し悩むものの、つい良いのか聞いてしまう石垣。






悩むのは帰る方法と、途中寄る天崎の事だ。










「いいですよ、もう少しで今日は閉店になりますし。タイヤ、取り寄せときますか? 今から電話すれば、明日午前中にでも履き替えられますよ」










成る程。

うまい商売方法だ。










一晩ここに置かせて違う店でタイヤを買うわけにもいかないので、了解した。











「宜しくお願いします」











石垣は店員の指示でスタンドの端に車を止め、天崎の携帯だけ持ち外に出た。











「タクシーもいります?」










親切心で聞いてきたが、そこまでは必要ない。




ここからなら電車がある。










「大丈夫です。近くにありますので。ありがとうございました、また明日来ます」










そう言って石垣はスタンドから歩き出した。










何ともついていない。



こんな日は早く帰るに越したことはない。










天崎の携帯を握り、考えた。










……どうする?

< 102 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop