ドラマチックスイートハート
例え休むわけにはいかないと分かっていても、人間と言うのは必ずそう思う種族。
嫌々ながらも、いつものスタジオに着くと天崎を発見した。
「あ、コウおはよう!」
毎度癒される笑顔が、今日はどことなく見たくない顔になっている。
見てると、心がより苦しくなるからだ。
「昨日さ……佐々木栄子からこれ預かったんだ。帰り道寄ろうと思って」
携帯を取り出すと、天崎は喜んで受け取った。
「うわ~! 探してたんだ、ありがとう! でも、昨日来てくれたの?」
部屋番号も知らないのにと、言っているような顔をしたので、石垣はそれを勝手に否定した。
「家通れば居るかと思ったけど、昨日タイヤがバーストしちゃってさ。結局行かなかったんだよ」
嘘。
行ったくせに。
そう否定する自分もいるが、圧倒的にごまかせと言う自分が過半数を占めていた