涙跡－Ruiseki－

有希は、お気に入りの
ファッション雑誌を読みながら
語りだす。


「例えばだよ？男と付き合ってたとして、
何も無しで、ただ付き合ってるってだけじゃ
楽しくないわけじゃん。」

「まぁ…、うん。」

「やっぱ、デートしたいし。
キスだってしたいし。
セックスだって、したいじゃん？」

「うん、まぁね。」

「そーゆーことだよ。」

有希が適当に語り終えた時、
雑誌に目を通す有希の携帯が
着信を知らす音楽を奏でた。


アタシは、気にしずに
有希の電話の会話を聞きながら
漫画をまた読み始める。


有希は、電話の音声を
大きくしているために、
電話相手の声がすごく聞こえる。



「あ、もしもし。マサさん？」

『有希ちゃん、またさ
相手してくれないかな…？』

「うん、いいよ。」

『前と同じ、３万でいい？』

「うん。」

『今から、東駅の前に来てくれないかな。』

「はぁい。」


有希は電話を切り、
出かける準備をし始めた。