涙跡-Ruiseki-
「そんなことして…、大丈夫なの?」


だって…さ、
金貰うのに避妊する男なんか
居ないと思うし…。

それに、男の方だって
ゴムすると、あんまり感じない…って
聞いたことがあるし…。



避妊してくれる男が居たとしても、
多分大幅に金額が変わるだろうし…ね。


「なんがぁ?」

「ん…、避妊とか…。」

「大丈夫だよ、ピル飲んでるし。」


ピルと言うのは、経口避妊薬のこと。
ゴムよりも、避妊率が99.9%と高い…らしい。


「…そっか。」

「じゃさ、ウチ行くから。
奈央、家帰るっしょ?」

「うん!」


アタシは有希の家を出て、
自分の家に帰った。





アタシは家を出た為、
学校のすぐ近くのマンションに
独り暮らしをしていた。



家事なんて、全くやったことが無いアタシの家は
自分の家ながら、溜息が出るほど
散らかり放題で。


服は、脱いだら脱ぎっぱなしだし。

食器とかは、出しっぱなしだった。


…とてもじゃないけど、
友達なんて呼べない部屋。


服とメイク道具が散らかっている
リビングの1部分に、
足で物をどかして座り込む。


足の踏み場も無いとは、
まさにこのことだ…。なんて思う。

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