涙跡-Ruiseki-
尚人はアタシが
イジメられてんの知ってるくせに、
アタシの性格を知ってんのか

「イジメられてんじゃねーよ。」

なんて、頭を撫でてくれたりして。

「馬鹿だなぁ…、お前。」

なんて、可愛らしい笑顔を見せてくれる。




…そんなとこ。
大好きだった。



7時になるのが、何故か
待ち遠しくて。

あんまり落ち着かなくて…


6時50分を
家の壁にかけてある時計が
示した瞬間、
アタシは家を飛び出した。


駅前だと、知り合い…というか
相手をしてくれたオジサン達が
たくさん溢れ返ってるから
尚人と会う時は駅前を避けた。



尚人は決まって、お迎え派。

しかも、アタシを迎えに
来てくれるんじゃなくて
アタシが迎えに行かなきゃいけないの。


ハッキリ言って、
面倒だな…。とか思ったこと
何回かあったけど、今じゃもう
それがどうしようもなく嬉しくて。

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