涙跡-Ruiseki-
「しない…の?」

「うん、今日はしねぇよ。」


平然とした顔で、
アタシの体を起こす。

服が何となく、乱れてて
乱れた服を直して、
溜息を1つつく。



「奈央さぁ?
止めさせてやろっか、イジメ。」


急に突拍子もないことを
言われ、キョトーンとした顔で
尚人を見つめる。


「意味…分かんないから。」

「いや…さ、だって、これ。」

アタシの腕を引っ張って、
服の袖を捲くり、
アタシに見せる。


…気づかなかったけど、
アザだらけだった。


足だってそう。

尚人がルーズソックスを
脱がした時にたくさんの
アザを見つけた。



「いいよ!こんくらい。
どうってこと無いからさ!!!」

イジメ…
してるの、みんな女子だから
尚人の言うことぐらい
みんな聞いちゃうんだもん。


自分でそのこと、分かってるから
「止める」なんて
馬鹿馬鹿しいこと言い出すんだ。

本当…、すごい戦力だよね。


「こんな体じゃさ、お前売れねぇだろ。
こんな体して、どんな男が
相手してくれるんだよ!!!」

本当のこと言うと、
尚人以外最近アタシとしてくれる人って
居なかった。


いかにも、「イジメられてます」って感じの
大量のアザと傷。


確かにね…。
こんな体じゃ、「抱きたい」なんて
思わないよ。

< 48 / 76 >

この作品をシェア

pagetop