涙跡-Ruiseki-
尚人が学校の女子と、
通学するのって珍しいらしく…
同じ制服を着た、
同じ学校の生徒達が騒いでた。

それも、騒いでるのって
みんな女子生徒。


同学年の女子生徒はみんな、
アタシが尚人と歩いてるのを
いかにも「ウザイ」って顔で
睨んでた。

尚人はそれに気づいたのか、
わざとみんなに見せ付けるように
アタシの手を握る。


「ちょ…ッ!!!」

アタシから手を離すと、
強引に肩に手を回された。



尚人は別に何とも思ってないかもしれないけどさ…
アタシがパニくるじゃん。


だってさ…
考えてみてよ。


自分の好きな人がさ、
積極的に手握ってくるんだよ…?


尚人がそういう奴だって分かってても、
平常心でなんか居られないから…。




アタシの教室の前で、
尚人とはバイバイした。

何を思ったのか、尚人は
アタシのことを
教室に1人、放り込んだ。


「イジメ止めさせる」とか
言ってたくせにさ…。
守ってくれないんだ?


尚人の態度と、
クラスのみんなからの視線に、
イライラした。

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