涙跡-Ruiseki-
疲れて、隣で寝ている尚人を
起こさないように
アタシはそっと起きた。

可愛らしい、尚人の寝顔。
「スー。スー…。」って、
寝息をたてながら
柔らかい表情で寝ている。


きっと…さ。

アタシと尚人は
繋がってたんだね。
運命って名前の絆で
繋がってたんだよ…ね。

今まではそんな、
『運命』とかって臭い言葉
信じてなかったし…

そもそも、『愛』って物を
信じてなかった。



金と愛は引き換えになる。
愛は金で、金は愛。

…そんな馬鹿げた考えだけで
多分アタシ、物凄く
冷めて冷たい女の子だったんだな…なんて
今更思う。


アタシが夢なんか見たらきっと、
気持ち悪がられるかもしれないけど…
でも、アタシね?
本気で、尚人とこのまま
ずっと一緒に居れることを信じて、夢を見た。



叶わない運命なのなら、
運命なんかこの手で変えてやる!って
そんなこと思うほどに、
アタシ、尚人のことが大好きだったんだ。

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